現在リリカルなのはの二次創作と日記を掲載。そのうちオリジナルの恋愛物も書くかも……
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空の少年 04 The First
大分暖かくなってきたな。

季節は三月も下旬。日に日に気温が高くなり、太陽が顔を見せている時間も長くなってきている。

朝日を受けて動き出した町並みの中、バス停を目指して歩く。

普段であれば横にフェイトがいる。

家が隣同士でさらにクラスも一緒なのだから当然と言えば当然だが、それが今日はいない。

今日は、と言ったが、実のところそれほど珍しいことではなかった。

詳しい理由は聞いていないが、割と頻繁に学校を休んでいる。

「よお」

「ああ、おはよ、黒煉」

「おはよう、黒煉君」

バス停についてアリサとすずかと合流する。

「今日はなのはは休みらしいわね」

「らしいな。朝一でメールがきた」

そう。最近姿を見せないことが多いのはフェイトだけではない。

なのはもだ。

大体、一月の中頃からだっただろうか。

二人が度々休むようになった。

フェイトはまだ付き合いが短いから断言できないが、なのはは病気ではないだろう。

あいつは救いようのない運動音痴だが、それに反して信じられないほどの健康優良児である。

正直に言って、あいつが身体面で体調を崩しているのなんて見たことがない。

休んだ後に会っても、体力が低下している様子も見受けられない。

一体何してるんだろうな。

「最近多いよな、なのは」

「そ、そうね。まあ、あの子にも色々あるんでしょ」

「色々って何だよ」

「えっと。それは、その……」

「ふふ、なのはちゃんもお年頃なんだから、男の子の黒煉君には言えないこともあるよ」

「む、そういった事情だったのか?あー、それは俺の配慮が足りなかったな。でもあれって月一なんじゃないのか」

「なっ?!なにアンタは朝から全開でセクハラかましてんのよ?!」

顔を真っ赤にして叫びながら、手に持っていた鞄で殴りかかるアリサを適当にあしらう。

しかし、こいつは誤魔化すの下手だね。すずかには感謝しろよ?

まあ、すずかの話の変え方もどうかとは思うが。










本当に、あいつは、何をしているんだろうな。















魔法少女リリカルなのは 空の少年 04 The First















はぁー

ここの所溜息の数が大幅に増えた気がする。

任務明けの朝。待ち合わせ場所のバス停へと向かう足が重い。

もうずっと、言わなければ、言わなければと考えているが、実際の行動には移せてはいない。

アリサちゃんやすずかちゃんには、もう去年のクリスマスに話した。

でもあれは、魔法を使っている現場を見られてしまったから。

それがなければ、ひょっとするとまだ黙ったままだったかもしれない。

彼に黙っているのは辛い。

騙している、彼だけを仲間はずれにしている。

そんな罪悪感に苛まれる。

「朝からテンション低いなお前は」

「にゃあっ?!」

頭の中で考えていた相手の声が突然聞こえて、驚いて後ろを振り返る。

黒煉君とフェイトちゃんだ。

「おはよう、なのは」

「お、おはよう、二人とも」

フェイトちゃんが笑顔で挨拶をしてくれるのに、こちらも咄嗟に笑顔を作って返す。

黒煉君は訝しげにこちらを見つめて、それでも何でもなかったように歩き出した。

彼との付き合いは私が幼稚園の頃にまで遡る。

一緒にいた時間で言えば、アリサちゃんやすずかちゃんよりも長い。

私の初めての友達。

そして、私に居場所をくれた。

私の仮面が、必要のないものだったと教えてくれた。

今まで彼に隠し事なんてしたことはなかった。

それだけ彼は私にとって大事な存在だった。

だからこそ、今の状況が本当に辛かった。





きっかけが、欲しかった。















 ◆◇◆◇◆◇◆















――何でそんなつまんない顔で笑うんだ――





これが、多分俺が初めてなのはに言った言葉だ。

幼稚園の年中だったから、もうすぐ5年になるぐらいか。まだ、俺もまともだった頃だ。今よりももっと素直だった気がする。

俺はなのはの笑顔が嫌いだった。

いつでも相手の顔色を伺っているようで、その場の空気に合わせているだけにしか見えなかった。

今になって思い返すと、そんな主体性のなさが俺は気に入らなかったんだろう。

当時はそんな理由も分からずむかついていたんだろうが。

どういう経緯だったかは覚えていないが、なのはと話をする機会があった。

その時に、俺はあいつに向かって先ほどの言葉を口にした。

最初は突然すぎて不思議そうな顔をしていたが、すぐに俺の言っていること理解したのだろう。

真っ青になって、その後真っ赤な顔をして怒り狂い、そして思いっきり泣き始めた。

怒っている時は、お互い髪の毛引っ張ったり、掻き毟ったりで大変だった。ちょうど周囲に他の園児も保母もいない状態だったから、結構派手にやりあった気がする。

その後あいつは、心の奥底に押し込めていたものをぶちまけた。





――だってお父さんが大怪我しちゃって――

――お母さんもお兄ちゃんも忙しくって――

――お姉ちゃんも看病で疲れてて――

――だからなのはいい子にしてなきゃいけないんだもん――

――なのはわがまま言っちゃいけないんだもん――





泣き喚いてそんなことを叫んでいた。

それを聞いて余計腹が立ったんだよな。





――なんで子供がそんな気使わないといけないんだ――

――そんなの家族じゃない――





今にして思えば、随分とひどいことを言ったものだ。

すぐにこの喧嘩は見つかって、俺は母さんにぼこぼこにされた。

でも、翌日には桃子さんがお礼を言ってきた。





――初めてなのはが自分の気持ちを言ってくれた――





そう嬉しそうに俺に告げた。

なのはと一緒にいるようなったのはそれからだ。

最近のなのはの態度を考えながら、そんな昔のことを思い出していると





わき腹に体重の乗った払いを叩き込まれて、俺の体は吹っ飛んだ。















 ◆◇◆◇◆◇◆















黒煉に誘われて、道場で剣を打ち合う。

今日は凍夜さんはいない。本業の退魔で家を空けているらしい。

道場は好きに使っていいとのことで、そんな時でもこうして仕合うのは今までも良くあった。

こうして打ち合っていると度々思う。

皇黒煉は天才だ

それは、彼に剣を教え始めてすぐに分かった。

こちらの示したことを一瞬で理解し、すぐに吸収する。

さらにそれを鵜呑みにすることなく、自分に合うように最適化している。

ひとつのことを教えて一週間もすれば、それは彼にとって当然のものとなっているのが動きを見ていてよく分かる。

純粋な剣の腕では、2,3年もすれば私に追いつくだろう。

凍夜さん自身も黒煉の適正は分かっていたらしい。

だが、自分ではそこまでの剣を教えることは出来ない。

だから、あなたが来てくれて本当に良かった。

恥ずかしい話だが、彼にそう言われることで初めて、師としての自覚が生まれた。

それから、より一層黒煉への稽古にも熱が入った。

といっても、もうひたすらに仕合うだけだった。

基本は既に教えた。一ヶ月もすれば、もう細かい指摘が必要なくなったのだ。

剣とは、それを振るう人間によって千差万別だ。

護身やスポーツ程度までならまだしも、最強を目指すなら自分に相応しい型を自分で見つけていくしかない。

下手に口を出せば、それは黒煉の成長を阻害する。

だからこそ、打ち合うことで黒煉に自らの剣を探させている。

まだ指導を始めて八ヶ月ほどだが、既にそれを見つけ始めているようだった。

放たれる一連の剣に流れが生まれてきている。

だが、今日の黒煉の剣は、ひどく雑だった。

それがひどく私を不愉快にさせる。

私が羨むほどの才を持ちながら、なんだこれは。

力強く床を踏みしめ、奴の木刀をかちあげる。

そうしてがら空きになった胴に、私の苛立ちを篭めた薙ぎを叩き込んだ。

「ゲホッ、ゲホッ」

床に打ち付けられて、腋を抑えて咳き込んでいる。

「少し休憩しよう」

そう告げて、返事も待たず私は道場を出て行った。





階段に腰を下ろして五分ほどすると後ろで戸が開く音がする。

「すまん」

開口一番が謝罪か。自覚はあるようだな。

「何に対してだ」

「剣に対してだ。今日のはあんまりだった」

「そうだな、雑にも程がある。私を馬鹿にしているのか」

「そうじゃない」

私の横に腰を下ろすが、浮かない顔をしている。

「どうしたんだ」

「少し、考え事をしていた」

「そんなことは分かっている。何を悩んでいるのかと聞いているんだ」

そうして私のことを見る。普段、あまり本音を見せない男だけあって、こうも不安そうな顔をしていると余程のことか。

「最近さ……」

「ああ」

「友達のことがよく分からないんだ」

「友達……だと」

意外とありふれた悩みだな。普通の小学生に見える。

いや確かに小学生なのだが、普段が普段だけにそれを忘れそうになる。

「なのはのことなんだが」

「高町?」

「ああ。最近隠し事をしているみたいで」

高町が黒煉相手にする隠し事など、十中八九魔法のことだろうな。

というよりも、あいつはまだ言ってなかったのか。

「友達といっても一人の人間なんだ。隠し事の一つや二つあっても不思議ではないだろう」

「確かに言う通りだ。それはわかってるんだが、こう、アリサやすずかは知っているっぽいんだ」

「仲間はずれにされているとでも感じるのか」

しっかりと芯の通った自我を持っているから、そういうことはそこまで気にしないと思っていたが。

「いや、そういうわけじゃない。なのは自身も言おうか言うまいか悩んでいるようだし」

「自分の信頼度に疑いがあると」

「いや、それでもないんだ。すまんな、自分でも整理できてなくて」

「謝る必要などない。ゆっくりでいい」

そうして、少し考え込んで再び口を開くが、

「その、なんだ、なのは自身が悩んでいるんだよ」

「さっきと変わってないじゃないか」

「うん、そうだな……」

そう言いながらも、私は黒煉の言いたいことが大体分かった。

「つまり、お前のことで高町が悩み、落ち込んでいるのが心苦しいのか」

「あー………多分そう」

まったく、そんなことか。

いや、そんなことと切って捨てるには、少し黒煉の考え方はおかしい気もする。

そもそも、

「そんなことをお前が気にすることもないだろう?」

「まあ、その通りなんだが……」

「お前に迷惑を掛けて、借りまである私が言うのもなんだが、少し背負いすぎじゃないのか?」

「そうか?」

「そうだ」

この自覚はないのか。

以前から思っていたことだが、黒煉は歪だ。

決して善人ではない。

性善説など欠片も信じていない。

むしろ赤の他人など路傍の石としか捉えていないように感じられることもあった。

しかし、自らが作った境界を越えた者にはとことん優しい。

一見素っ気無いような態度をとるが、それでも見えないところでとても相手のことを思いやっている。

そして、黒煉のその行動の中には自己というものが無いような気もする。

これは人として、理性をもった存在としては致命的な欠陥ではないだろうか。

そんなことを考えるがが、これは一言何かを言って治るようなものでもない。

とりあえず、逐一気に掛けるようにしようか。

ひとまずは、この場で安心させなければな。

「高町がお前に言えないのだから、それだけ大事なことなのだろう」

「たぶん」

「だが、そんな大事なことでも、お前に言えないことで悩んでいるんだ」

「ああ、だから……」

反論しようとするが、それに被せるように言葉を続ける。

「だから、本当はお前に言えないほどのことでも、お前に伝えたいと高町は思っているんだ」

「うん?」

「つまり、それだけ高町はお前を大事に思っているということだ」

「………そうなのか?」

「そうだ」

「よくわからん」

「わかれ」

これは自分で納得しなければ意味は無い。

「よく分からんが、それでも俺のせいでなのはが悩んでいることに変わりは無いんじゃないか?」

「そうだな。だから、お前がその悩みを無くしてやれ」

「どうやって?」

「高町にも伝えようと言う意思はあるんだ。ならば、背中を押してやれ。親友なのだろう?」

「そうであればいいと思っている」

「どうしてそこで自信なさげなんだ。しっかりしろ」

「んー」

「臆病になるな。自信を持て。お前は出来る男だ」

「………」

空を見上げて、考え込んでいる。

こちらの言葉を整理しているのだろう。

「……ああ、そうだな。ありがとう。相談に乗ってもらって」

「気にするな。そもそもこのために今日は誘ってきたのだろう」

多分私がそれに気づけなかったから、あの茶番が始まったのだ。

「ああ、他に相談する当てが見つからなくてな」

「交友範囲が狭いんじゃないのか」

「確かにそれは否定できん」

苦笑しながら立ち上がる黒煉の顔を見上げる。

「今日はこの辺にしよう」

そう告げた顔は、先ほどよりもずっと落ち着いていた。

今日の私の役目は終わりだろう。

「そうだな」

そう返して、立ち去る黒煉を見送るが、途中でこちらを振り返った。

「もう一度礼を言うよ。ありがとう。本当に、お前はいい女だな」

「なっ!?」

そんな爆弾発言をしても、さして気にする風も無くきびすを返し門をくぐって出て行ってしまった。





「くそ、何なんだあいつは」

琥珀さんに挨拶をして家に帰る途中でも、まだ鼓動は早いままだった。

「腹立たしい。なんて軟派なんだ。あれでも騎士か」

言ってから黒煉は別に騎士でも何でもないと気づくが、それが余計に私を不愉快にさせる。

そんなことを考えながらも、黒煉にいい女だと言われるのは、










どうしようもなく、嬉しかった。










To The Second
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