現在リリカルなのはの二次創作と日記を掲載。そのうちオリジナルの恋愛物も書くかも……
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
空の少年 00
「じゃあ、また明日。なの」


「うん、また明日ね。バイバイ」


そうして公園に最後まで残っていた二人の子供が帰っていく。

少女は母親に手を引かれ。

少年は一人で、少女を見送るときびすを返して自らも家へ帰るために歩き始めた。

皆、明日もまた、今日と変わらない日が訪れることを疑うこともなかった。


そう遅い時間ではないが、まだ季節は2月半ば。日毎に日は長くなっているとはいえ、辺りは既に薄暗くなり始めている。

そんな中を、一目見てまだ幼稚園児とわかるような子供が一人で歩いている。普通の人が見れば明らかにいぶかしむような状況だが、少年の足に迷いはない。当然のことのように、慣れた様子で淡々と歩を進めている。

やがて辿り着いたのはとあるマンション最上階の一室。ポケットから鍵を取り出して、鍵穴に差込み、右に回す。

するとおかしいことでもあったのか、少年は眉をひそめて首を傾げ、しばし考えるような仕草をする。すぐに何か思い当たる節があったらしい。それまでよりも僅かだが表情をほころばせて室内に入っていった。

玄関の鍵を閉め、靴を脱ぎ、リビングへと足を踏み入れた瞬間、



ズドンッ!!



とてつもない衝撃が少年を襲った。

壁にたたきつけられた少年の前には一人の女性が佇んでいる。常人ならすぐにでも気を失ってしまうほどの殺気を漂わせて。

状況から見るに、彼女が先ほどの衝撃の発生源であろう。

いまだ倒れ咳き込み続ける少年の髪の毛を掴み、先ほどとは逆側の壁に投げつける。途中あったテーブルをなぎ倒し、またも壁にたたきつけられる少年。

その後も女性は、少年に暴行を繰り返す。その最中にも女性は何かを呟き続けている。

数分後、部屋は見るに耐えない様相となっていた。壊れた家具の数々、血で汚れたフローリング、そして血ではない何かで灰色の染みを作ったベージュ色の絨毯。

女性は虫の息となった少年に近づき、左手でその首に手をかけ、自分と目線があうようにゆっくりと持ち上げる。よく見ると、少年の右腕と左足は有り得ない方向に曲がっている。それを一瞥した後、女性はその右手を槍のように貫手にして構え、

「…………ごめんなさい、黒煉」

少年の胸を貫いた。

消え行く意識の中、少年は自分の目に映る、茶色に光る鼈甲のかんざしと、蒼く透き通った瞳と、そこから涙を流し続ける母の姿を心に焼き付けた。

突き詰めて言えば、それはもっと何年も前から始まっていたことなのかもしれない。

だが、少年の始まりは……その心に空白が生まれたのは……確かにこの日、このときだった。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。